研究内容

私たちが目指すもの

当研究室では,インターネット等にある大量の情報を人間が有効に活用することを支援するコンピュータ・システム「知識オーガナイザ」の実現を目指しています.具体的には,利用者の要求に関連する情報を的確に検索して取得し,それによって得られた断片的な知識を推論によりつなぎ合わせて構成し,利用者の意図に沿った形式で提示するシステムです.利用者がある問題を持っている場合,インターネット上に存在する個々の情報は,その問題を解決するための知識の断片でしかありません.これら断片を収集して来て,問題解決に適した形で紡ぎあわせてくれるシステム,それが私たちが実現を目指す知識オーガナイザなのです.

知識オーガナイザが実現すると,知的活動において,情報収集や資料整理をコンピュータが肩代りしてくれるため,人間は判断や思索に集中することができるようになり,これまで以上に速やかに的確な判断を下したり,創造力を発揮することが可能になるでしょう.例えば,会議において意思決定をする際には,議論している中で,議論対象の周辺的な知識,社会の動向,過去の経緯等が必要になることがありますが,事前に必要になるかも知れないこれらの情報をすべて調べて整理するのは膨大な時間を要する上,それでも網羅できるとは限りません.知識オーガナイザがあれば,情報が必要になった時にこれに問合わせれば,過去の議事録から経緯を調べ,インターネットやオンライン・データベースから周辺知識や社会の動向を整理して,出席者に提示してくれます.また,製品を購入する際の機種選定をする場合には,これまでは製品比較記事の載った雑誌を読み,カタログを集め,知人や詳しい人に評判をきいた上で,それらを頭のなかで整理して判断し,購入する機種を決めていました.知識オーガナイザは,人間が判断するのに必要となる情報の整理までを自動化してくれます.情報のソースとしては,Web上のレビュー記事,メーカのWebサイト,電子掲示板上のユーザ提供情報等であり,従来の情報源と本質的には変りません.これらの収集をコンピュータが行うため,より短時間で広範囲な情報が得られるのです.さらに,これまで人間の頭の中で整理していたためもやもやとしていた情報や知識の間の関係が,コンピュータにより構造化されて明確となるのです.これにより,人間はより自分の要求に合った機種を選定することができます.

人間の創造性は無限です.しかし,創造は,先人の創造活動よって得られた成果の蓄積の上に成り立つことも事実です.進歩と共にこの蓄積が膨大なものになってきています.この先,創造活動のため必要となる情報の蓄積が,人間の脳の記憶や処理能力の限界を越えてしまうかも知れません.人類がこれまで以上に創造性を発揮し社会を継続的に発展させて行くことに,知識オーガナイザの技術が貢献できると考えています.


研究テーマ (2005-2008年度)

様々なプロジェクトに参画したことに伴い研究テーマの幅が広がりつつあります.基礎となる技術は,変わる事なく知識オーガナイザのための要素技術ですが,様々な分野での応用も研究することになりました.

  • 自然文によるWHYやHOW型の質問に対し新聞記事やメイリングリストの蓄積から答を見つけ出す「non-factioid型質問応答システム」
  • 特許の関係をマップとして表す「特許マップ自動作成システム」
  • 「コピペ」レポートは許しません!!「模倣レポート検出システム」
  • 多言語(とくにアジア言語)情報アクセス技術
  • マルチメディア情報と言語情報を融合した感性検索システム
  • つながり感通信システム
  • eラーニング向け協調学習環境


研究テーマ(2002-2004年度)

知識オーガナイザの実現には,必要なな情報を見つけ出す技術,管理者や所有者の異なるシステム間で情報を交換したり共有する技術,人間が読むための文章で書かれた情報を解釈する技術,不確かで大量の情報に基づいて推論する技術等の要素技術が必要です.そこで,これら年度では,情報を見つけ出す技術として言葉の意味を考慮した情報検索技術,これと文章で書かれた情報を解釈する技術とを用いた応用システムとして質問応答システムと特許マップ自動作成システムを中心に研究を進めました.また,個人が収集した情報を,信頼できるコミュニティ・メンバ間で交換するシステムについても研究しました.

  • 言葉の意味を考慮して情報を見つけ出す「概念類似判別に基づく情報検索」
  • 自然文による質問に対し新聞記事から答を見つけ出す「質問応答システム」
  • 特許の関係をマップとして表す「特許マップ自動作成システム」
  • 個人が蓄積した情報をコミュニティ内で交換する「個人間情報交換・共有システム」